2014年11月、タイから覚醒剤約11キロ(末端価格7億7千万円相当)を密輸したとして、逮捕・起訴された指定暴力団稲川会系林一家傘下三浦組幹部、北村景応 通称:北村慶應(53)と同組幹部 片山徳男(69)ら3被告の裁判で、タイ警察による、おとり捜査が違法だったかどうかが争われていたが、東京地方裁判所は、北村景応被告に対し、懲役17年、罰金800万円の判決を言い渡した。
2014年4月14日、タイから覚醒剤を隠したキャリーケース1個を片山被告の妻ら女3人=同法違反罪などで起訴=に羽田空港に持ち込ませ、密輸した事件で、タイ警察のおとり捜査により、情報を警視庁に提供し逮捕に至った。
タイ警察は、捜査協力者から密輸情報を知り、日本側と「コントロールド・デリバリー(CD=泳がせ捜査)」を実施。途中で覚醒剤を押収したが、日本から運び屋が来ると、私服捜査員がホテルの部屋まで覚醒剤を届けた。警視庁は、日本に持ち込んだ直後の羽田空港の駐車場で運び屋を、約半年後に片山被告をそれぞれ逮捕した。
被告の弁護士は、「タイ警察は最初のおとり捜査に失敗し、いったん押収した覚醒剤を密売人を装った捜査員が直接、犯人グループに受け渡している。こうした違法なおとり捜査がなければ、犯罪は成立しなかった」と主張している。
これについて、東京地方裁判所の稗田雅洋裁判長は今月3日に開かれた裁判で、「タイ警察のような捜査は通常、日本では行わないが、タイ警察は自国の法律の許可を得たうえで捜査している」として、被告側の主張を退け、10日の判決で、「妻や第三者を運び役に仕立てて犯罪に巻き込んでいるほか、密輸した覚醒剤の量も非常に多く、刑事責任は重い」として、懲役17年、罰金800万円を言い渡した。
現在タイ警察の腐敗は非常に深刻で、自動車の検査と称して車内を捜査員が調べている間に覚せい剤の錠剤(現地名ヤーバー)を見つけたと車の所有者を脅し、金品を要求する警察官や、検問を勝手に始め、難癖をつけてドライバーから金をせしめる行為が横行しており、タイの裁判所から許可を得ているとしているが、日本基準で考えられているレベルには達しておらず、違法な手法を用いている事は考えるに難しくない。
この様な腐敗した国家の警察を信用し、判決材料にするのはこの事件に限らず、他の冤罪を生む恐れがあることを日本の司法は警戒するべきだろう。