大阪府警平野署は31日、暴力団組員であることを隠して生活保護費を受給したとして、指定暴力団六代目山口組直系四代目吉川組組員、井上茂雄容疑者(45)を逮捕した。
逮捕容疑は、2014年5月下旬~今年5月上旬まで、受給対象外である暴力団員であることを隠して大阪市から生活保護費約439万円をだまし取った詐欺容疑。
井上容疑者は2010年4月から生活保護を受けていたが、3年前に組員になった後も受給を続けていた。取り調べに対し、井上容疑者は「事実に間違いありません」と容疑を認め、これに伴い警察は8月2日、四代目吉川組の本部事務所を家宅捜索した。
生活保護の受給の条件は、「資産、収入、稼働能力その他あらゆるものを活用しても最低生活が維持できない」人に対して支給され、日本国民として最低限度の生活を保証する憲法に基づいた制度だ。
暴力団員は稼働能力があると考えられている事と、暴力団組織の資金源となりうる可能性があるため、受給資格は無いとされているのだが、刑務所から出所後就業困難で生活保護を申請するケースは多く、特に生活支援をする福祉団体に相談すれば比較的用意に受給までこぎつけることが出来る。
受給申請時には必ず暴力団組織からは脱退していると申告しなくてはならないのだが、現役の暴力団組員が虚偽申請をすることが大変多く、今回の様に摘発されるケースは珍しくない。
自治体はケースワーカーを通じて就労支援をしつつ、受給者の生活実態を調査するのだが、それでも発覚するケースはさほど多くない。
申請当時は破門状態(黒字)だとしても、その後破門が解かれ再度組織に戻るケースも多い。もちろん組組織は破門状を自治体に送っていないため、在籍確認などはできない。
不正受給が発覚した場合、支給された生活保護費は全て一括返還しなくてはならず、ヤクザが自治体に追い込みをかけられ、違法に手にした金を自治体に支払うという晦渋な状況が生まれる事になる。