現代ヤクザの変貌

ヤクザニュース
2019/4/5

ヤクザとは一体何だろうか?ヤクザの定義を考えた事がある人は多いとは思うが、その定義が現代ヤクザには当てはまっていないのではないだろうか。

近年ヤクザの主なビジネスと言われている「オレオレ詐欺」もしくは「母さん助けて詐欺」だが、これが本当にヤクザのシノギと言えるのだろうか。

ヤクザは職業ではなく生き方

ヤクザとは、その起源

ヤクザの語源は諸説様々あり、ここでは割愛するがヤクザは本来、風来坊、放浪者、渡世人、無頼漢、ごろつきを指し、一般社会に適応できない者の事を指していた。

ヤクザの代名詞として、博徒が挙げられるが博徒は元々江戸時代中期に博打を重罪として取り扱っていた時代に、寺社の境内などで賭博を催しテラ銭を得ていた者だ。

社会の枠組みから外れるものとして当時から「非人」としての身分階級で、香具師と称される的屋も例外ではない。

 

任侠とは何か

いわゆるヤクザが好んで使う「任俠」という言葉だが、これは仁義を重んじ、苦しんでいる者を放っておけず、彼らを助けるために体を張る自己犠牲的精神や人の性質を指す。

有名なところでは、天保の飢饉に苦しむ貧民を率先して救い刑死した上州の博徒、国定忠治を任侠の徒として評価し、現在でも非常に人気がある

「素人衆には手を出さない」

この様な言葉は任侠から来ていると言われ、それを重要視する事で一般人から尊敬を集めるヤクザがいたのも事実である。

 

極道とは何か

いわゆるヤクザ組織の一員を極道と呼ぶことが一般的だが、この起源は仏法の道を極めた高僧に対し極道者(ごくどうしゃ)と称し肯定的な意味を指すものだった。しかし、江戸時代より侠客(弱いものを助け、強い者を挫く)を極めた人物を称える時に極道者と称した事から使われ、それがいつしか博徒も使う様になった。

それ以降、「極道」という言葉は肯定的な意味から、社会の枠からはずれた無頼者を指す言葉に変化し、現在に至る。

実際、ヤクザは暴力団と称される事を嫌うが、それを避けるために自ら極道と名乗る様になった。しかし、本来は自称するのではなく他人から認められたものだけが極道と呼ばれるのが本来の用法と言えるだろう。

 

戦後ヤクザの変貌

戦後、日本が連合国に敗北したことで物資が不足し闇市が栄え、特に露店を本職としているテキ屋系団体が勢力を増していくこととなる。また、敗戦による社会の荒廃により治安は極めて悪化。その中で形成された「愚連隊」(ぐれんたい)と呼ばれる不良集団から暴力団が誕生することもあった。

急速な経済復興に伴い沖仲仕、芸能興行など合法的な経済活動に参入することとなり、いわゆる正業を資金獲得の手段として選ぶ三代目山口組の様な組織も台頭してきた。

現代の暴力団は的屋の系譜を継ぐ団体(的屋系暴力団)、博徒の系譜を継ぐ団体(博徒系暴力団)の両方が存在するが、戦後の混乱期に愚連隊から結成され、一般社会に入り込む組織も出ている。

この区別は建前でしかなく、非合法活動を暴力を背景に行っている事はまぎれもない事実だ。

 

現代ヤクザとは

前述したとおり、ヤクザとは本来行き場がなく、社会に順応できない者が集まり、組織での生活を通して仁義を理解し、仲間同士助け合い時には素人衆を助け、道を極める事(生き方の探求)、自分の居場所を作る場と言えるだろう。

しかし、時代の変化によりヤクザは暴力団と化し、暴力を背景にした債権回収や店舗等からみかじめ料を徴収してきた。

その後、違法薬物の売買での資金獲得をする様になり本来のヤクザ、極道、任侠団体と現代のヤクザは意味合いが全く違う事が多い。

更に、近年ではオレオレ詐欺に代表される電話を利用し、高齢者から金をだまし取る詐欺をする者が増え、現在のヤクザは「暴力を背景にして利益を得る者」という枠からも外れ、人を騙して利ざやを得る単なる詐欺師集団に成り下がっている組織も散見される。

この様に現在のヤクザは「金さえ手に入ればなんでもやる」という組織であり、言ってみればマフィアやギャングと言った海外の無法組織となんら変わらず、これまではヤクザが潰すべき相手であった半グレなどを利用している組もある。本来こうした半グレはヤクザ者が律し統制していたが、現在では暴力団の下請けの様な扱いをしており、マフィア化、地下組織化が顕著に見られている。

山口組三代目
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