指定暴力団山口組から分裂した神戸山口組について、警察庁の金高雅仁長官は10日の記者会見で、離脱した傘下組織の山健組などが新組織を立ち上げたと認識をした上で、
「速やかに必要な情報収集を行い、指定について検討を進める。指定されていない状況でも取り締まりの強化で国民の安全安心の確保に全力を挙げる」と述べた。
神戸山口組は5日、初会合を開き、14団体が参加し神戸山口組として山健組の井上邦雄組長が新組織の組長に就任した。
井上組長名の書状が関係団体などに送られ、周知されたという。
指定暴力団の要件
(1 )暴力団が生計の維持、財産の形成または事業の遂行のための資金を得るため、当該暴力団の威力を構成員に利用させたり、構成員が利用することを容認することを実質上の目的としていること
(2 )暴力団の幹部または所属組員のうちに、犯罪経歴保有者が一定の割合以上いること
(3 )当該暴力団を代表する者またはその運営を支配する地位にある者の統制の下に階層的に構成された団体であること
上記要件を満たすため、神戸山口組の実態を把握するとともに、情報収集を急いでいるが、最も把握が難しいとみられるのが、(2)の要件で、脱退した組の全構成員が新組織に移るとは限らないうえ、近年は組員の名簿なども作成しないことが多い。
2006年6月に九州誠道会(現・浪川睦会)が新たに結成されたケ-スでは、福岡県公安委員会が指定にこぎつけたのは08年2月だった。この間、道仁会会長が福岡市の路上で射殺される(07年8月)など抗争事件が相次いだが、九州誠道会は暴対法による規制の対象外だった。
不当要求などを禁じた暴対法を適用するには、新組織の本部が所在する都道府県の公安委員会が手続きを行う必要があり、現状では本部を正確に確認できていないという。